2014年11月26日水曜日

空中警戒管制機「クリスタロス」

丸家。
暴飲愚者
―パシフィックE-767―

 日本国民軍・禍津日原駐屯軍の空中警戒管制機。「クリスタロス」はクリスタル(水晶)のラテン語。パシフィック社の旅客機「767」型を軍用に改造した機体。

 元来は、アメリカ連邦太平洋航空製作(Pacific Aero Products)会社が開発した旅客機の一つで、当時から「クリスタル号」の愛称で親しまれていた。

 冷戦期、アメリカ連邦と日本人民共和国には国交がなく、民主共和党などの米国容共派と、国際的孤立を避けたい日共改革派との間で、しばしば「日米国交正常化」が模索されていた。こうした中、日共西欧派党員の若手エリートである日基建の尽力により、表向きには日米両国の「親善交流」と、可能であれば国交樹立交渉を目的として、クリスタロス号の訪日行事が実現した。 しかし実際には、機内に搭乗していたのは国家中央情報機関の工作員達であり、彼らを呼んだ日基も日共左派による粛清を警戒し、現政権を見限って西側諸国への亡命を企図していた。

 日基を乗せたクリスタロス号は、朝鮮人民共和国中華ソビエト共和国などの歴訪という名目で離陸を許可され、その上で米国に帰還する予定だった。しかし、日共もそうした計画を見抜けないほど馬鹿ではなく、日基暗殺とハイジャックの特命を受けた対抗工作員を忍び込ませていた。

 文字通りクリスタルの如く張り詰めた疑心暗鬼の航行中、遂に日米は「機内開戦」し、激しい銃撃戦の末、日共空軍戦闘機からの追撃も振り切り、親米・反共の軍事政権が統治する大韓共和国に到着。その後、同じく親米反共の中華共和国(台湾)や、アメリカ委任統治領の琉球諸島を経て、北太平洋を横断し帰国に成功。この大冒険を機に、クリスタロスは「不落旅客機」の代名詞となった。

 光復元年のダウンフォール・コロネット作戦に際して、北太平洋の制海・制空権を確保し関東平野への上陸を目指す米軍・日本国民軍は、パシフィック社の旅客機を改造し、戦場における様々な情報の送受信を担い、敵の攻撃が届きにくい高度からの作戦指揮が可能な空中警戒管制機(AWACS)を投入した。この機体が「クリスタロス」の名を受け継いでおり、落合航ラズール隊の活躍を支援した。

 日本人民共和国が滅亡し、日本帝国が建国されると、クリスタロスも新日本軍に所属した。しかし、皇帝の座を巡って光復帝雲母日女西宮堯彦親王が争う「姉弟喧嘩」が勃発し、敗北した西宮派が次々と失脚・左遷させられる事態になった。クリスタロスは軍人の本分を守り政治活動を行わず、帝位継承についても「別に、誰でもいい」と中立的だったようだが、西宮派に近い落合の作戦指揮を行ったという理由で同派と見なされ、雲母日女の粛軍対象候補に含められてしまう。しかし、高価な機体で「中の人」も優秀なAWACSを退役させるわけにもいかず、「一番面倒な任務」への従事を命じる処置となった。

 その任務は、東京府より北方の地域を占領した武装勢力「星川軍閥」を空から監視し、そのために星川との国境地帯上空を(補給などによる着陸時を除き)24時間366日ひたすら飛び続けるという内容であった。この国境地帯には、西宮や落合が「流刑」された禍津日原も含まれているため、彼らとも連絡を頻繁に取って陸と空の連携を強め、東京・星川の有事に備えて哨戒を行った。星川側も管制機の存在には気付いているが、勝機のないタイミングで開戦する気はないため、領空侵犯して来ない限りは相手にしない。
星川初「あんな高い所から覗かれているのは不気味だけど、人様のお内を覗くのと、実際に強盗しに押し入るのは全く別よ」
当初はかなり制限された労働条件だったが、絵に描いたような冷静沈着で任務に徹する姿が次第に評価され、禍津日原周辺だけでなく、より広域の作戦にも動員されるなど重用されるようになった。結果として西宮派に属したので、彼が外遊する際に上空から見守るほか、西宮・落合の部下として禍津日原から出撃する十三宮勇サフィルス隊を管制した。光復23年(聖徳元年)、西宮が皇帝に即位すると、「空軍近衛師団」として直属部隊に昇格した。

 AWACS最大の長所は、万が一 自軍の地上基地が陥落するような事態になってしまっても、上空から味方の残存部隊に命令を出し、戦闘を継続できるという点にある。クリスタロスの機体たるパシフィックE-767は、基本的には友軍のサポートに機能を特化しているが、敵軍のレーダーや無線通信を撹乱する電波妨害(jamming)も搭載でき、その点で電子戦機としての性格も有する。物事を外見だけで判断するのは良くないが、一般的にはその巨大な円盤状レーダーで知られる。なお、主権国家ではない(当然ながら戦力を保持しない)はずの国際刑事警察委員会(ICPC)もなぜかAWACSを所有しており、「銀河提督」泰邦明子が指揮官を務めている。

 無個性が個性と言われるほど堅物だと思われているが、作戦の指揮権限を巡って落合と無益な主導権争いを繰り広げるなど、自我の強い一面も窺える。「中の人」の正体は普通に優しくて可愛いお姉さんであり、喋り方はクールだが格別孤高にこだわっているわけでもなく、任務の合間に遭遇すれば普通に仲良くなれるし、一緒に遊んでくれたりもする。

丸家。丸家。

丸家。丸家。

丸家。

丸家。丸家。

丸家。丸家。

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