2014年10月1日水曜日

アラビア帝国

アラビア帝国オアシス都市

 アジア南西のアラビア半島を統治するイスラム帝国。その名の通りアラビア語を話すアラブ人が居住。イスラム発祥の地であり、現在も教義・聖典に基づく専制君主政治が行われている。

 アラビアは世界最大の半島で、紅海・ペルシャ湾・アラビア海に囲まれ、インド洋に向かって発達している。砂漠気候下に西高東低地形の高原台地が広がり、北部のネフド砂漠と南部のルブアルハリ砂漠から成るが、地下水が豊富でオアシスも立地。

 その過酷な気候ゆえ、ローマ帝国が紀元前1世紀に征服を試みるも失敗し、イスラム教が創唱されるまで世界史の表舞台から隠れていた。7世紀に預言者(使徒)マホメットが降臨しイスラム教(清真教)を開闢、メディナを首都とするアラブ帝国(イスラム帝国)が誕生した。しかし、後継者の正統カリフが崩ずると、イスラム帝国の首都は北方のダマスカス(ウマイヤ朝)、次いで8世紀にはバグダッド(アッバース朝)に移転し、アラビア本土の統一は再び失われた。13世紀にマムルーク朝エジプト、16世紀にオスマン トルコ帝国の支配下に置かれた。

 18世紀に復古主義的宗教改革を主張するワッハーブ王国が建てられ、トルコからの独立運動を展開。第一次大戦後、西岸にヒジャーズ王国、中部にワッハーブを継ぐナジド王国が分立し、ナジドがヒジャーズを併合して統一王国を形成した。折しも、トルコが第一次大戦に敗れて滅亡(共和国に改組)し、イスラム帝国の最高指導者たるスルタン・カリフ制が廃止されてしまったため、ヒジャーズ・ナジド王国が称号を継承し、現今のアラビア帝国に改名した。
  • 正統カリフ朝アラブ帝国(7C)
  • ワッハーブ王国(18C)
  • ヒジャーズ王国(20C)
  • ナジド王国
  • ヒジャーズ・ナジド王国
  • アラビア帝国(現在)

 第二次大戦後、ペルシャ湾(アラビア湾)の石油採掘で世界有数の産油国となり、中東戦争では石油危機(オイル ショック)を引き起こして反イスラエル連合を支援した。現在は欧米天主教国との協調外交を展開しており、内政面で厳しい戒律を堅持する一方、原理主義過激派とは距離を置いている。

 政治的首都はリヤドだが、宗教的聖地としてメッカ・メディナも極めて重要。メッカのカーバ神殿には聖なる黒石が安置されているが、これは隕石らしい。

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