2014年9月29日月曜日

アーニャ オレゴブナ ブブノワ

 バルト系ドイツ人、別名アンナ リッツマン。西暦ミレニアム以降激減したナチス残党(旧ドイツ第三帝国労働者党)中最も気の狂った集団とされるグループ「若き髑髏部隊」の「全国指導者」として、後世に「ナチス新世代運動」と呼ばれる集団の前身を担った。

 アーニャは西暦ミレニアムにて最も悪名高きテロリストであり、最も人道に挑戦した科学者だった。600名を超える実験犠牲者を生み、世界初のクローン軍事集団を成立させたアーニャは噂に聞く、「流転の姫君」の超越した肉体とそれが孕む禁忌の理を解明し量産化するのを望み、実験を繰り返した。最も彼女が望んだのは後天的作用による肉体の革新であり、生まれながらの超越は望まなかった(望めなかった?)。

 「神話の体現」を現世にて試みる「若き髑髏部隊」の指導者は、実験の結果を人間へ最初に試すのに反対した協力者、かつてアーニャに救われた関係上協力者になったイオン マリカにより、渋々猟犬へ試した。肥大化した肉体とそれに合わせて異常発達した筋骨、全てを食す対象とする見境ない捕食思考と利口になった脳を兼ね備えた化け物「人造犬ガルム」が誕生。長州戦争では大坂釜ヶ崎(愛隣地区)に放たれドヤ街の住民を大虐殺。その騒ぎのために地区で大火災が起きそれも合わせて確認出来るだけで200人が死亡する大惨事を引き起こした。最終的に近衛秀国の放った槍を眉間に受けたガルムの死で幕を下ろしたが、クローン集団に転用された技術は平泉にて樹下進の率いるクローン軍団の強化に繋がって人類に再び牙を向いた。

 アーニャは第三帝国の人種主義的福祉施設「レーベンスボルン」出身の祖母を持ち、ソビエト ロシアに逃げ出した武装親衛隊脱走兵の祖父を持つ人物で、おちゃらけた口調や振る舞いとは裏腹にナチスとして生きねば世間の目に押し潰されてしまう自分がいるのを自覚し、自らの存在をただ実体として肯定するため魔道に堕ちた。分かり易い北欧人種がいつレーベンスボルンの残照かとバレるかを恐れながら、自らの美貌を誇りにする二律背反を犯していたが遂にその矛盾に気が付かないまま、大坂の事件を知った宇喜多によって狙撃され落命した。しかし、その成果は確実に悪性を後に遺していった。

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