2015年10月28日水曜日

蓮池夏希


池村ヒロイチ
空界月姫
―ただ「愛してくれた」人のために―

 日本帝国西海州政府軍(九州鎮台)陸軍参謀科大尉。九州を統治する吉野菫州首相の側近。江上慶也の娘で、蓮池冬弥(とうや)の元で養育された。


 父親の仇である吉野を討つべく、九州軍に入隊。優秀な成績で仕官し、吉野の近辺に侍った。

 外見は吉野ほど豊かではないが、均整の取れたモデル体型。水泳をやっていたため、全身筋肉質の逆三角形。日本国民軍の制服を着ているが、休憩中はネクタイを緩め、ジャケットボタンを粗方外す。ワイシャツは第三ボタンまで開けるので、覗こうとすれば谷間まで見える。見たらハイキックが飛んで来るが。

 学生時代(高校とも)から喫煙しており、一 日に一箱吸いきる。吉野の前でも変わらず吸いきるため、打ち合わせ時に吉野が灰皿を用意する無茶苦茶な状態になっている。灰皿がないと飲みきった珈琲の カップの底に残った水分で消そうとするため(マナーには欠ける行為だが、本人曰く「便利でしょ」との事で悪気はない)、見かねた吉野が灰皿を用意するよう になってしまった。因みに煙草がなくなると露骨に機嫌が悪くなり、歯軋りし、舌打ちする。表情の陰影は濃くなるため非常に怖い。実はこの悪癖自体、父 江上からの譲り。吉野は江上と蓮池の共通項を「喫煙者の禁断症状」と思い込んでいたが、城原詮二郎や蓮池冬弥は正体がバレるため止めさせようとしていた(もちろん失敗)。

 よく脚を組み、片腕を背もたれに回してくつろいでいる。

 基本的に不遜であるが、神経は実際細やかであり、吉野首相の側近としてはきめ細やかな仕事と補佐を行い信頼を得ていた。なお、きめ細やかさは後に吉野暗殺を謀る際にも発揮され、吉野は爆殺を逃れた後の伊賀越えで、そこにいない蓮池による周到な仕掛けを越えていかなければならなかった。

 軍隊の中で生活していたためか生まれつきなのか毒舌であり、また話言葉の表現が率直な分おしとやかさや可憐さが微塵も感じられない。但し、それは正直さの裏返しでもある。

 好物は芋焼酎と焼き鳥、ただの飲兵衛である。

 江上の娘として復讐を誓っていたが、側近として過ごす内に惰性で復讐心を薄めてしまっていた。しかし、光復21年の長周戦争において、空母での白兵戦を演じたイブン マスードから「己の生まれ、成り立ちを忘れて生きられようものか!」との台詞を吐かれ、己の由来から逃れたくない自分に気付き、吉野殺害を決心した。

 常に吉野のために「同性」らしい助言を行ってきたが、八月事変が勃発すると、葉山円明の挙兵を知ってこれに呼応。吉野の航空機を爆破し、彼女を暗殺しようとしたが失敗。その後、九州制圧を目指して筑紫県大宰府へ進撃し、陥落寸前に追い込むが敗北。八女(やめ)の戦いで、掌握してきた八女人を動員して決戦に挑み、仇敵の諫早利三を撃破。しかし、間もなくやって来た陶山聖尚軍1万の増援を受けた鎮台軍に敗北。乱戦の中包囲され殺されかけるが、城原に救い出されて戦線離脱。その後の消息は不明。

 十年後、八女の山奥に住む「幸せそうな夫婦」が見かけられたとの報告がある。

青野充
青野充
liyaliya
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