2014年3月23日日曜日

泰邦明子

戦英伝譚

 国際刑事警察委員会(ICPC)の参謀・指揮官。泰邦清継の次女で、清子より2歳年下の妹。

 先天的に驚異的なIQを備え、戦略・戦術の天才であると共に、あらゆる戦争の勃発・経過・勝敗を予知できるという恐るべき能力を持つ。第二次埼京戦争(光復15年)後の混乱に乗じて、北武県に潜伏する中国系犯罪組織によって拉致されてしまうが、工作船を拿捕したICPCによって救出される。以後、ICPCの保護下で生活し、自らも軍師としてキリュウらに助言を行う。日本では「死亡」した事になっているが、偽名でインターネット上に現れ、BBSに予言的な書き込みをしたり、オンライン戦略ゲームで猛者を破ったり、会津泰邦家に自分の生存をほのめかす暗号を送ったりしている。

 「ファントムアイ」などのコールサインでICPC直属の極秘特殊空軍(通常のレーダーでは探知できない)に属し、エーワックス(空中警戒管制機)に乗って国際テロリズムなどの警戒に当たる。特に、光復21年の「天皇海山の戦い」(八月事変に連動した北太平洋戦線)では、共産主義者に占拠された軍事要塞「イザナミ」を攻略するため、十三宮勇ら航空部隊に適切な指示を出し、文字通り世界を救う功績を上げた。正式な肩書きではないが、部下からは「提督」と呼ばれる。

 頭脳がずば抜けて優秀な代わりに、体力は平均以下であり、直接戦闘能力はない。孫子や毛利元就を尊敬しているが、嘘を言えない正直な性格であるため、相手を騙して利を得るような謀略的交渉は苦手(策として立案する事はできるが、本人はやりたがらない)。将棋が趣味で、駒を動かしながら軍略を語る。また、姉と同様に宇宙を舞台としたSF作品が好きで、「お姉ちゃんと一緒に『銀河帝国』をやっつける!」などと言っていた。

 「泰邦家の繁栄」と「戦争の勝利」を第一に考えており、そのために必要であれば核兵器や軍事独裁をも肯定する。また、「自由」と「民主」は両立せず、むしろ民主主義や平和主義こそが自由を抑圧しているとも発言している。戦争が航空機を始めとする科学技術を進歩させたように、破壊が創造をもたらすという冷徹なリアリズムは、ともすれば綺麗事に走りたがる現代社会への痛烈なアンチテーゼである。その一方で、彼女がこうした事を軽々しく言えるのは、軍師という立場上、戦場で人が死ぬ場面を直接見る事が少ないためではないかという批判もある。実際、将棋の趣味が暗示しているように、戦争をゲームのように楽しんでいる一面を否定できないのも事実だが、ICPCの仲間達と行動を共にする中で精神的にも成長していく。

 日本列島が平和を取り戻した後、ようやく帰国を許され、家族との再会を果たす。


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