2014年2月24日月曜日

林鵬 仁木鳥月

林鵬
千年王國

 中国出身の無政府主義的キリシタン。徐秀全と共に日本に流れて来た人物で、表の顔は上杉橄欖に近侍する占い師。

 中華ソビエト共和国の地下教会に属していたが、政府から弾圧を受け日本に亡命。カンフーに長け、武芸繋がりで徐と親交を深める。

 アメリカ人神父と共に星川領内や東京領内でアングラの布教活動をしているが、その教義は極めて反体制的なもので、カトリック系過激派として警戒されているが、徐の内々の工作で咎め立てされていない。在日華僑内で広まったこの教義は、左右思想に幻滅した日本人にも浸透し始め「見えざる手は主の意に非ず」「主の下において何人も階層をなしてはならない」「俗物の政治を改め聖なる意に従え」と機運を高めた。しかし林鵬の意志は別にあり、華僑の影響力と日本人の乗せられ易い性質を利用して日本の体制転覆を謀り、日本を自らが望む社会の構築実験に用いようとした。

 正義もなく悪徳もなくただ「人間社会の発展の限界」を興味本意で見定めようとしている。山岳党(ジャコバン派)の理性的社会が共産主義にしか至らず、競争本能的社会が理性的社会に侵蝕される資本主義にしか至らなかったのに失望し、不完全燃焼になった神政を改めて実験しようと企む。その果ての失敗の責任は人類に課されるが、本人は気にもしない。

 北武蔵県(旧埼玉県)などに潜伏しつつ、仁木鳥月(にきちょうげつ)という偽名で占い師として生計を立て、上杉ら秘密警察の追跡から逃れている。それどころか、孤独な上杉から相談役として信頼されてすらいる。表向きには占星術やタロットが得意だが、より呪術的な能力をも持っているらしい。

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