2013年10月23日水曜日

小田月舟斎

 小田皐月の実兄で、かつては星川軍の将校であった人物。本名は小田顕太郎。

 第二次埼京戦争(光復15年)に第一空挺連隊第一中隊長として出陣し、エクスキャリバー線(利根川防衛ライン)を巡る戦闘で八洲精士郎との白兵戦に突入。善戦するも「怨み孫六」による居合を受けて重傷を負い、戦陣に倒れる。なんとか一命を取り留めるも、片腕を失う。そのために軍の最前線からは外され、妹の皐月が代わりに入隊。顕太郎は予備役大尉となり、星川初の側近くで働く経理部門に異動する。

 一方で、特殊加工された義手を用いてリハビリを開始し、順調に成果を上げるが、星川近くにて暗躍する徐秀全大使や「奸物」と呼んではばからなかった上杉橄欖が星川家の実権を握っているのに大いに不満を抱き、星川結・岩月愛らが大宮旅団を辞去すると、自らも辞表を提出して星川領を去り、出家した(17年)。以後「小田月舟斎」と名乗るが、次第に髪を蓄えながらも煤に汚れた袈裟を纏った異形の坊主として気ままに出歩き、戦乱の世ゆえに虐げられる弱者の「矛」としてならず者を殺して有り金を奪って生活費にするという無茶苦茶な生活を送る。

 上野戦争(18年)の時は恩賜公園で昼寝をしていたが、爆風でベット代わりの長椅子ごと吹き飛ばされていた。その際、緊急出動してきた八洲精士郎と遭遇しているが、これと言った事もなく、そのまま別れる。なお、上杉橄欖と小田皐月が事件後に巡察していた時には近くで怪我人の手当をしており、兄の存在に気づいた皐月から(必死のジェスチャーで)促されてその場を離れる。

 この頃から日共残党と暗闘を繰り返すと共に、「白衣派」の生き残りがいる可能性を考えて日共残党のルートを使って毒殺や辻斬り、狙撃、事故に見せかけた暗殺などを繰り返して、日共関係者で現在日陰者となっている幹部達を殺害し続けた。だが、その行為のために八洲率いる東京軍傭兵隊からの襲撃を受ける事になる。人生二度目の対八洲戦では義手こと鉄腕を以て五分に持ち込み、逃げ果せる。

 八月事変(21年)では劣勢の星川軍に帰参。大宮旅団親衛狙撃兵中隊長となり、妹同様に奮戦。葉山が討死を遂げた後で、彼の亡骸を辱めようとした東京軍の兵士を殴り飛ばして外交問題になりかけるも、結局有耶無耶になる。

 樹下率いる後日共軍との戦闘(光復23・聖徳元年)では鍛え上げた殺し屋としての腕でボーンを確実に処理していくが、ルークことイオン・マリカによる狙撃ポイントの割り出しによる奇襲を受け白兵戦に突入。死力を尽くして戦い、結果的に退けられるがイオンにもかなりの深手を負わせ、衰弱したイオンは偶然爆風で飛ばされてきた結によって撃たれる。樹下が遠野衛に、滝山未来が多くの戦士達によって倒されると、制御を失い暴走し始めたクローン兵の群れに飛び込んで奮戦し、彼らの停滞と友軍の攻撃による殲滅を成功させるが、自身は消息を断つ。この際、周囲からは制止されていたが「強情なのは、アイツ(妹)譲りでね」とクールに笑って飛び込んでいった。

 十三宮勇の暴走の際には、彼女に抵抗する七宝院軍の傭兵としてまさかの生存発覚。青鳥体制を打倒する一助となった。星河亜紀の死を見届け、星川滅亡・日本連邦共和国成立と時代を見届けると、勇を殺したという「男」へ「思い当たるフシがある」と語り「もうこの陰気な芝居の幕を下ろす事としよう。幕が下りれば、演者はいらぬのでな」と言い残して、姿を消した。

 妹皐月にとっては厳しい兄だったが、同時に尊敬する兄であり、彼の数度の出奔を経ても信頼は変わらなかった。消息は公式記録にも残っていないが、皐月自身は知っている。但し、誰にも口外しなかった。

 クールで皮肉屋、そして本人曰く「諦めが早くて、金の運を取られた男」。基本的に、殺害方法などは下衆っぽいが一本筋が通り、かつて対立した敵でも窮地なら助ける正義感がある。

 鉄腕は自在に動かせる優れ物で、「孫六」の一撃や小銃兵との白兵戦で大いに役を立てた。

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