2018年2月4日日曜日

RISORGIMENTO』第話「流転の刻に

池村ヒロイチ
小田皐月

 日本列島に再び統一国家が出来てから既に数十年が過ぎていた。敷島共和国はその名に対して、一切の共和無く、只々独立以来の誇りと利権を賭けて各々の勢力が陰謀と政争を続けながら今日に至っていた。外敵に対しては一応の「結束」をし、然れどもその実は外敵との「英雄的」戦いで隣人には晴々と散ってもらいたい、そう願いさえする者もいた。ましてや政権を担う徳川慶家(とくがわ よしいえ)自らが、政権与党である三条(さんじょう)氏の勢力や鎌倉に潜んで寝首を掻こうと虎視眈々と狙っている「鎌倉殿(かまくらどの)」に「御恩」を抱く、士分派勢力の弱体を―例えそれが消極的であるにしても―願っているのだから、他は言わずもがな、である。

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