地球への小惑星衝突に伴う「日本人民共和国」の崩壊後、日本列島は政治的統一を失って分裂し、東京・九州を統治する「日本帝国」、埼玉・群馬を占領した「星川共和国」、近畿・中国を支配する「畿内軍閥」など、複数の地方政権が乱立する内戦状態に突入した。
日本帝国西海州政府首相として、九州の行政・軍事を指揮する吉野菫(よしの すみれ)は、周防長門地域の領有をめぐって畿内軍閥と対立していたが、可能な限りは外交による戦争回避の道を模索し続けた。だがしかし、山口地帯が敵方の手に落ちる事を危惧した東京・九州の軍官僚達は、独断の軍事行動で周防大島・屋代島(やしろじま)に上陸し、畿内勢との戦端を開いてしまう。不本意な開戦という現実を突き付けられた吉野首相は、同盟国であるアメリカ軍との連合作戦が予想される中、蓮池夏希(はすいけ なつき)を始めとする幕僚達との緊急軍議に臨む。
このような動きに対し、畿内軍の謀将として山陰・山陽を守護する宇喜多清真(うきた きよざね)は、自らの信仰であるイスラム系の人脈をも最大限に駆使して、次なる聖戦の策を着々と進めていた。一方、和平工作の密使を拝命した、日本国教会司祭の須崎優和(すざき ゆうな)は、とある修道会の主から送り込まれた若き女騎士と共に、列島の地中海たる瀬戸内海へと導かれる。
彼ら・彼女らと共に各地を転戦する中で見えて来たのは、西国の海道を血に染めた、稀代の天下大乱であり、その陰影に蠢(うごめ)く、錯乱の魂であった…果たして私達は、この戦争の結末を見届け、生き残る事ができるのだろうか?
吉野菫 |
0 件のコメント:
コメントを投稿